2011年9月3日、アジア3R推進市民ネットワークおよびNPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットの主催により、「第3回アジア3R推進市民フォーラム日本大会」が開催されました。「ゼロ・ウェイストのアジアをめざして」をテーマに掲げた本フォーラムの内容は宣言文としてまとめられ、10月6日にシンガポールで催される「アジア3R推進市民フォーラム」へ届けられます。
開会の挨拶
最初に、アジア3R推進市民ネットワーク代表である藤井絢子さんによる開会の挨拶がありました。
アジア3R推進市民ネットワーク代表
藤井 絢子さん
藤井さんは「アジア全体がごみ問題ゼロベースに向けた取り組みを展開する中、日本の培ってきたノウハウが生かせるでしょう」と述べました。「今日集まっているNGOはそれぞれに長い活動歴がおありです。問題解決のノウハウやアプロプリエイト・テクノロジーに関する知見をお持ちのはずです。それを使ってゼロ・ウェイストのアジアを目指しましょう」と呼びかけました。藤井さんはまた、福島第一原発発電所の事故によって引き起こされた、放射性物質を含むごみの問題がきわめて深刻であることにも触れました。
次に、来賓である環境省廃棄物・リサイクル対策部の伊藤哲夫部長からの挨拶がありました。
環境省 廃棄物・リサイクル対策部
伊藤哲夫部長
伊藤部長はまず「この市民フォーラムの開催をお慶び申し上げます。また、東日本大震災で被災された方々や亡くなられた方々へのお悔やみを申し上げます」と述べました。そして環境省では、東日本大震災の津波による災害廃棄物2,300万トンの処理を3年間で終えたいと目標を掲げていると語りました。また、「2011年8月末までに身の回りの災害廃棄物を仮置き場へ移動する」という目標に関しても、福島県の立ち入り禁止区域を除いて達成したという報告がありました。「放射性廃棄物の問題は環境省が担うしかないと考えています。みなさんから『環境省の処理基準は安全だ』と言っていただけるように、意見交換を図りながら進めて参ります」と述べました。
また、本フォーラムに関しても「本日開催されたこのフォーラムの意義は大きい。活発な議論を期待します」と語って挨拶を締めくくりました。
メッセージ紹介
本フォーラムのためにシンガポール環境評議会から映像によるメッセージをいただきました。さらに、北京からの来賓からも一言いただきました。通訳は東アジア環境情報発伝所の朴さんが務めました。
シンガポール環境評議会
Mr. Lee Peng Hon
環友科学技術研究センター北京師範大学大学研究員
Mr. Mao Da
シンガポール環境評議会の Lee Peng Honさんはまず、本フォーラム開催のお祝いを述べました。「日本のNGOが集まって、資源を有効に扱い、環境問題をコントロールすることについて話し合いをされるということに興味を抱いています」と語り、日本大会の成功をお祈りすると同時に、その成果を10月のシンガポールのNGO大会で共有できることを期待していると述べました。
この時、会場にて北京の来賓からも挨拶がありました。「フォーラムの開催、おめでとうございます。また、被災地の方々にお見舞い申し上げます」と述べた後、「大量の瓦礫の問題は海外でもメディアを通じて知っています。問題に取り組んでいる団体や政府に敬意を表します」と語りました。中国では90年代から3Rへの取り組みが提唱されていたものの、政府によるごみ処理はなかなか実現しなかったとのこと。市民からの声を受けて2007年に実際のごみや廃棄物の処理が始まったそうです。結びとして「日本はこの分野に関する豊富な経験をもっています。そこから私たちが何を学ぶかが重要です。今年、私たちも全国規模の集まりを開催し、ゼロ・ウェイストのアジアを政府に提言するつもりです」と話しました。
講演「アジアにおける3R最新動向―技術や経験の移転を考える」
続いて、独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター環境・資源研究グループ長 小島道一さんからアジア各国の廃棄物関連の法律の現状について説明がありました。「中国で今年1月にテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、コンピュータの処理に関わる廃棄電子機器回収処理管理条例が施行されました。マレーシアでは、2007年に決定されていたものの、細則がまとまらなかった固形廃棄物・公共清掃管理法が、今年9月1日にようやく施行されました」など、最新の情報を伝えてくれました。
そして、同研究所の2010年9月以降の調査で明らかになった現地でのリサイクルの様子も伝えられました。カンボジア・シェリムアップ郊外の埋立処分場にて被覆銅線のプラスチックをカッターで剥ぎ取っている様子や、インドネシア・バンドンの住宅地周辺にてICチップから金を取り出す作業が行われている様子、さらにフィリピンのパヤタス埋立処分場におけるメタンガスの回収と発電・焼却など、10以上の事例が挙げられました。
Semak埋立処分場に隣接する廃棄物の陸揚げ施設
(2006年10月)
Semak島。自然観察会なども行われている。
(2006年10月)
10月にフォーラムが催されるシンガポールでのごみ処理の現状も伝えられました。「家庭や産業系の非有害廃棄物は4つの廃棄物発電施設で焼却されています。生じた焼却灰などはシンガポール島沖のスマカウ島に隣接する海面埋立処分場まで船で運搬されています」と説明しました。また、2001年から開始された全国リサイクルプログラムや、公園などで伐採された樹木や剪定枝から炭を製造して欧州などへ輸出していることにも言及しました。
最後に小島さんは「技術や経験の移転を考える」として、「日本での分別収集の分け方を説明することはあまり重要ではない。むしろ、どのように分別の仕方を決めてきたのか、そして分別したものを誰が回収して需要者に届けるのかを伝えるべきです」と話し、日本と他国のリサイクルシステムの違いについて総括的に述べました。
タイの産業廃棄物の焼却・熱回収施設 2010年12月, Bangpoo, Thailand
JICAが協力して実地した分別収集。 生ごみとそれ以外の2分別。
中古のブラウン管を利用して作られたブランド名のついてないテレビ。購入者がブランド名を 選べる。2007年1月、中国
総合討論 テーマ「ゼロ・ウェイスト実現への道~連携・協働の成果~」
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
崎田 裕子 さん
各NGOが取り組んで来た、市民・企業・政府との連携・協働の成果を発表する時間が来ました。持続可能な社会をつくる元気ネットの理事長であり、今回のフォーラムのコーディネーターでもある崎田裕子さんから「今までの取り組みの成果をいかに評価・共有して行けば良いかを考えましょう」との提言がありました。
続いて事例報告・調査報告、アジア3R推進市民ネットワーク参加団体の紹介がありました。
「上勝町ゼロ・ウェイストへの挑戦~
市民との連携・協働の仕掛け」
「シンガポール事前調査報告」
アジア3R推進市民ネットワーク 参加団体スピーチ
上勝ゼロ・ウェイストアカデミー理事
葉山町ごみ減量担当
松岡夏子さん
富士山クラブの青木さんと
持続可能な社会をつくる元気
ネットの足立さん
アジア3R
推進市民ネットワーク
参加団体
最後に、シンガポール開催の「アジア3R推進市民フォーラム」で提出されるステートメントに関して、ネットワーク参加団体間での話し合いが持たれました。素案に基づいて活発な議論が行われ、東日本大震災関連支援に対する各国への謝辞や2012年のリオ+20に関する説明を含めるなど、各団体からさまざまな意見が出されました。ステートメントは議長と代表に一任され、決定版が作成される予定です。
閉会挨拶
コーディネーターの崎田さんは、「これからもNGOとして自分たちの責任を感じて行きましょう。本日のフォーラムをきっかけに、さらに活動の場を広げていただければと思います。今日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました」と閉会の辞を述べました。
■編集後記
国際フォーラムにおけるNGO大会の参加のために、開催地であるシンガポールへ事前調査に赴くなど、アジア各国NGOとのネットワーク作りに市民レベルから尽力するアジア3R推進市民ネットワークの姿が印象的でした。また、アジア各国におけるそれぞれの取り組みが伝えられた本フォーラムによって、「地域の文化や特性によって3Rへの取り組み方はさまざまである」という認識が深まりました。今後、徳島県上勝町の事例のような自治体と市民の協働が増えていけば、3Rが自発的かつ効率的なものになるのではと感じました。
取材と文 村上 百合