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元気大賞
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このコラムでは、「NPO法人 持続可能な社会をつくる元気ネット」(元気ネット)が毎年行っている「市民が創る環境のまち“元気大賞”」を受賞した、先進事例をご紹介してきました。“元気大賞2008”は、『eco japan cup 2008』のライフスタイル部門地域版として実施しています。

そこで、今回は“元気大賞”受賞団体ではありませんが、『eco japan cup 2008』に新設された、日本郵政グループの企業賞『JP 地域共存ビジネス賞』を受賞した(株)ピースウェイブを紹介します。地域の廃棄物を資源として活かし、循環利用していく、循環型構築の視点から注目の先進事例です。





『バイオマス(有機廃棄物)が開く資源循環型ゼロ・エミッションの農業と地域の未来』
(株)ピースウェイブ


イモ太郎が加わることにより、更なるバイオマスの有効利用と、資源循環型農業が実現。

焼酎の産地九州では、年間100万トンの焼酎カスが排出され、海洋投棄されていましたが、2007年4月から原則禁止になり、その処理と有効利用方法の開発が急務となりました。

一方、CO2削減に向けた世論の高まりと、廃棄段階での環境対策の観点から、石油系プラスチックに代わる、生分解性プラスチック(微生物等によって二酸化炭素と水に分解されるプラスチック)の市場ニーズは、年々高まって来ていますが、原料となる樹脂価格が高いため普及していないのが現状です。

東京のベンチャー企業(株)ピースウェイブは、鹿児島の酒造メーカーが排出する焼酎カスを乾燥させて粉末にし、特殊な生分解性樹脂を混ぜて、生分解性樹脂ペレットに加工。このペレットを原料として、生分解性の農業用マルチフィルム(資源循環型マルチフィルム イモ太郎)を製造することに成功しました。農業用マルチフィルムとは、苗や種を植える際、保温や雑草が生えないようにするために地表を覆うもの。農家が、この焼酎カスから作ったマルチフィルムを使用して、再び焼酎用イモを育てています。

この農業用マルチシート「イモ太郎」は、焼酎カスの繊維質を混入することで、従来の植物性でんぷんから作られた生分解性マルチフィルムと比べると強度が増し、畑に張る際に縦に裂けやすいという問題が起こらない利点もあります。

そして苗の植え付けから約4ヶ月後、フィルムとして役割を終える頃から次第に劣化が進み、土に触れる部分では、微生物による分解が始まるようにできています。また収穫時には、フィルムが機械に絡むこともなく、土の中へ鋤き込まれ、飛散せず、畑の中で微生物の活動により水とCO2に分解され、自然界に戻るのです。

ポリマルチフィルムは、回収後のリサイクルがきわめて困難で、畑の隅に積み重なって放置されていることが多く問題でした。また回収困難なフィルムの破片が、畑に残ったり、周辺の土地や河川に飛び、環境悪化の問題を引き起こしていました。

九州ならではのバイオマスの有効利用と再生品であるマルチフィルムを使って作った原料イモを、バイオマス排出者である酒造メーカーが使うという地域循環になっていることが、素晴らしいと思います。また、石油由来でなく、かつ食料と競合しない、バイオマスから作られたバイオプラスチックの益々の普及に大いに期待しています。


a:イモ太郎を展張後約1ヶ月頃の様子。

b:土に触れる部分では、微生物による分解が始まっている。

c:回収困難だったポリマルチフィルムの破片が畑に放置されている様子。

d:使用後に回収しきれず、突風などで吹き飛んだ ポリマルチフィルムが川辺の環境に影響を及ぼしている実態。山や他の土地にも飛んでいる。

当元気ネットでは、毎年各地で「市民相互交流学び合いサミット」を開催しています。今年は、元気大賞電通賞の「銀座ミツバチプロジェクト」と農業をテーマに、7月17日〜18日に開催すべく現在企画中です。17日の各地の事例報告には、元気大賞入賞団体のうち特に農業系プロジェクトと今回の(株)ピースウェイブやカルチャー部門の事例発表も予定しています。

【執筆者プロフィール】

鬼沢良子
「NPO法人 持続可能な社会をつくる元気ネット」(元気ネット)事務局長

元気ネットは、循環型社会をつくるために、市民、企業、自治体、研究者などのゆるやかな連携を目的に、1996年に任意団体「元気なごみ仲間の会」として発足。2003年NPO法人取得とともに、現在の名称で活動。2001年「市民が創る環境のまち“元気大賞”」を創設。入賞団体の活動を体験するエコツアーを実施し、「市民相互交流学び合い」によるつなぎ手(ファシリテーター・コーディネーター)の育成に努めています。各地で実施のエコツアーでは、全国各地のまちづくりキーマンと出会えます。

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